病院のご案内

院長室 バックナンバー

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2024/01/01

新年のご挨拶

独立行政法人国立病院機構     
舞鶴医療センター 院長 法里 高

 新年明けましておめでとうございます。
 皆様におかれましては、輝かしい新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 また、平素より、当院の病院運営、日常診療におきまして、ひとかたならぬ御高配にあずかり、深く感謝申し上げます。

 さて、令和5年を振り返ってみますと、新型コロナ感染症は令和4年11頃から第8波が押し寄せ、年明け2月からは新規感染者数も減少し、終息に向かいました。3月13日からは、感染防止のための『マスク着用』は個人の判断となり、また、5月8日からは「2類相当」から「5類」への移行に伴い、新規感染者数の報告について各医療機関から毎日報告されていたものが、定点医療機関による1週間分の報告に変更されました。

 幸いにして、第9波が到来することなく今日に至っていますが、コロナ感染症が無くなったわけではなく、当院では医療従事者としての自覚を持たすためにも『マスク着用』を必須とし、職員及び委託職員等にコロナワクチン接種を推奨してきました。各医療機関におかれましても、引き続き感染防止に努めておられることと存じます。

 一方、舞鶴市内の「医療」に目を向けてみますと、当院を含め市内公的病院ではコロナの流行が落ち着きを取り戻してもコロナ前の患者数には戻らず、病院運営が厳しい状況に置かれています。このような状況下で、当院としましては昨年10月末で地域包括ケア病棟を「休棟」するという苦渋の決断をしましたが、引き続き各医療機関から紹介があれば患者様を受け入れることとし、健全な病院運営に努めているところです。

 また、舞鶴市では新市長が誕生したこともあり、市長・公的4病院長・医師会長を構成員とした『持続可能な地域医療を考える会』が、昨年5月に発足しました。

 この会は、地域医療を支えるうえで、直面している現状課題・懸案事項について意見交換する場であり、これまで「看護師人材確保」、「救急医療体制」等について活発な意見交換が行われました。いずれの病院もこれら懸案事項についての対応に苦慮している現状が報告されました。

 今後、舞鶴の地域医療を持続可能なものにしていくためには、市民の方々にも各病院の状況をご理解いただき、"舞鶴の医療提供体制は、どうあるべきか"を舞鶴市、公的病院 、医師会、市民の方々と一緒になって考えていき、これから先何十年と、地域住民が求める医療ニーズに対して職員一丸となり安全で安心な良質な医療が提供できるよう努めてまいる所存ですので、引き続きご指導、ご鞭撻の程、何卒、よろしくお願い申し上げます。

2023/01/01

令和5年度を迎えて

独立行政法人国立病院機構     
舞鶴医療センター 院長 法里 高

 日頃より当院の運営に関し、皆様からご支援、ご協力を賜りまして、厚く御礼申し上げます。

 日ごとに少しずつ寒さが和らぎ、春の爽やかな風とともに新しい年度となりました。病院前の桜並木も例年どおり華麗に色づき、今年は桜満開の時期に、新たに35名の採用・異動者の職員をお迎えし、辞令交付を行うことができました。新たに新社会人となられた皆様、おめでとうございます。当院並びに国立病院機構の職員となられたことを大変うれしく思い、心からお祝いいたします。

 さて、新たな年度を迎えるに当たり、2点ご報告を申し上げたいと思います。

 1点目は、2024年度から適用される医師の時間外労働規制への対応です。適用まで残すところあと1年となり今年度は具体的な対策が必要となりますが、その第一歩として、まずは医師の正確な労働時間を把握することが重要です。しかし、現状では必ずしも正確に把握できているとは言い切れません。理由として、現在は手書きの勤務時間管理簿を使用していますが、記載漏れや記載誤り、あるいは職員により記載の正確性にばらつきがあり、記載内容に若干の差異が生じているためです。

 そこで、ようやくではありますが、国立病院機構でもいわゆるタイムカードに相当するものとして、ICカードを用いた勤務時間システムを導入することとなりました。これが稼働すれば労働時間を客観的に確認することが可能となります。現在、全国の国立病院機構で順次導入が進められており、当院でも3月から一部の部署でテスト稼働を行っています。医師も含めた全職員での本稼働は、テストの状況次第ですが夏頃となる見込みです。昨年度からは勤務負担軽減部会も発足させ、医師も含め全職員の負担軽減に関する検討を行っておりますので、今年度は勤務時間システムによる労働時間の結果も確認しつつ、新たな対策を検討していく予定です。

 2点目は、当院附属の看護学校についてです。舞鶴医療センター附属看護学校は3年課程の看護専門学校として昭和23年3月に開設され、昭和31年4月には西日本で最初の看護士(男子)養成を開始、令和5年3月現在では2,868名の卒業生を輩出し、当院及び京都府北部地域の看護師需要に寄与してきたところです。しかし、近年では少子化と学生の4年制大学への志向の高まりにより定員割れが続いているため、経営的に厳しい運営を余儀なくされており、学生募集活動の強化や経営改善を図ってきましたが、依然厳しい状況が続き大幅な改善は困難な状況にあります。

そのため、国立病院機構本部、及び京都府と協議を重ねた結果、このまま看護学校を運営していくことは母体病院の経営にも影響を与え、強いては地域の医療体制にも影響を与えかねないことから、誠に残念ではありますが閉校する判断に至りました。閉校時期は令和6年4月の入学を最後に令和9年3月末をもって閉校する予定としております。今後、看護学校の建物については、当院が実習を受け入れている学校に教育実習の場として提供し、京都府北部地域における看護師需要に貢献していきたいと考えております。

 以上の2点とともに、5月には新型コロナが5類に引き下げられる等、変わりゆく新たな時代に対応していくことが求められる1年になろうかと思われます。今年度も職員一丸となって病院運営に努めてまいりますので、一層のご指導、ご鞭撻をいただきますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

2022/01/01

新年のご挨拶

独立行政法人国立病院機構     
舞鶴医療センター 院長 法里 高

 明けましておめでとうございます。

 皆様におかれましては、輝かしい新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。 また、平素より、当院の病院運営、日常診療におきまして、ひとかたならぬ御高配にあずかり、深く感謝申し上げます。

 さて、令和3年を振り返ってみますと、令和2年に引き続き新型コロナ感染症の流行が続いた1年でありました。まず、令和2年年末からの第3波に始まり、5月のゴールデンウイーク前後の第4波、そして8月から9月にかけての第5波と3回の流行がありましたが、特に第5波では全国的にも患者数が激増し、重症者であっても入院できない患者が全国的に多数発生したことは記憶に新しいところです。これまで、感染者が比較的少数に留まっていた舞鶴市においても感染者が急増し、当院でも舞鶴市のみならず近隣地域からの患者も含め多数の患者の受け入れを行うこととなり、ピーク時には連日複数名の新規入院患者を受け入れている状況となりました。

 一方で今年は新型コロナのワクチン接種が開始され、感染予防、並びに重症化予防に大きな効果を上げていると考えられます。当院では、まず3月から4月にかけて職員や院内の委託業者を対象とした医療従事者の優先接種を実施し、6月までには附属看護学校の学生も含め約530名の2回接種を完了しました。さらに、当院の職員家族を対象とした職域接種についても9月から10月に院内で実施し、約80名の方へ2回接種を行っております。

 また、5月からは一般市民を対象とした舞鶴市の集団接種が開始されました。当初は65歳以上の高齢者が優先接種対象となっておりましたが、その後、それ以外の年代にも拡大され、9月には中学生までが接種対象となり、10月末で集団接種は終了しています。この集団接種における従事者については、市内の医療機関から職員を派遣しており、当院からもほぼ毎日、医師、看護師の派遣を行いました。

 舞鶴市における住民への接種率は集団接種終了時点で80%を超えており、現時点ではワクチン接種が唯一有効な手段と言える状況の中、高い接種率の実現に貢献できたことは地域の医療機関として大きな役割を担うことができたと認識しております。今後11歳以下の方に対する接種も予定されておりますが、引き続き当院としても必要な協力を行っていく予定です。

 令和3年末時点では、国内の感染状況は非常に落ち着いており、経済活動等も徐々に回復しつつありますが、世界的には感染の拡大が続いており、新たな変異株の出現もありまだまだ予断を許さない状況となっております。そのため、当院の職員に対する行動制限を継続しているほか、患者さんやご家族に対しても面会制限等でご迷惑をお掛けしている状況ではありますが、ご理解とご協力をお願い申し上げます。

 最後になりましたが、今年も地域の関係医療機関・行政機関の皆様と引き続き連携を図りながら、コロナ対応も含め京都府北部地域における中核病院としての役割を果たしてまいる所存です。本年も皆様方のご支援、ご協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2021/01/01

新年のご挨拶

独立行政法人国立病院機構     
舞鶴医療センター 院長 法里 高

 明けましておめでとうございます。
 皆様におかれましては、輝かしい新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 また、平素より、当院の病院運営、日常診療におきまして、ひとかたならぬ御高配にあずかり、深く感謝申し上げます。
 
 さて、先日、2020年の世相を表す「今年の漢字」が発表されておりましたが、予想通り新型コロナウイルス感染症関する文字が候補に上がり、「密」の1文字となりました。2019年12月に中国武漢から始まったCOVID-19は、発生から約1年が経過するところでありますが、世界的な感染拡大が続いており、日本でも医療および経済に深刻な影響を及ぼしているところです。

 新型コロナウイルス感染症では日本の医療体制の問題点が浮彫になりました。医療機関、関係行政機関は対応に追われ、発熱患者さんが病院で診察を受けられない、陽性者も入院できずに自宅待機で死亡するという事例も報道されております。今回の危機を契機に、医療体制、医療機関の役割について見直す必要が出てきております。

 舞鶴市においては、感染者の発生は比較的少数にとどまっておりますが、院内の管理体制を強化するため、当院でも対策会議を立ち上げ、診療に関する方針や職員の行動に関する方針を策定しております。感染対策として、入院患者さんへは原則面会禁止、職員へは手指消毒、マスク着用、密接回避等の徹底、また、病院外においても会食の自粛等の対策をしており、幸いにも当院ではこれまで職員の感染者や院内のクラスター発生を出さずに乗り越えることができております。

 これからもしばらくの間は新型コロナウイルス感染症とは、共存して生活を送る必要があります。当院では通常の診療機能も確保した体制を取るため、例えば発熱者に対しては、他の患者さんと動線を分離して診察にあたる等の対策を行い、診察が必要な患者さんにはこれまで通り受診していただくことが可能となっています。面会制限などではご迷惑をお掛けすることもありますが、ご理解とご協力をお願いします。

 最後になりましたが、この感染症に対して日々ご尽力されておられます関係医療機関・行政機関の皆様と引き続き連携を図りながら、京都府北部地域における中核病院としての役割を果たしてまいる所存ですので、より一層のご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 今年は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種も開始されようとしています。この困難な状況を乗り越え、より良い年となることを祈念しております。
本年も一年、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2020/01/01

平成31年度を迎えて

独立行政法人国立病院機構     
舞鶴医療センター 院長 法里 高

 日頃より当院の運営に関し、皆様からご支援、ご協力を賜りまして、厚く御礼申し上げます。

 日ごとに少しずつ寒さが和らぎ、季節が変化していくのを肌で感じます。病院前の与保呂川沿いには、今年も桜並木が華麗に色づき、その艶やかな姿を眺めていると、穏やかな春の季節の到来に、静かな喜びを心の内に感じることができます。この4月も、多くの採用・異動職員を迎え入れ、当院としても新たな気持ちで様々な物事に臨むことになります。特に今年度は、5月に元号が変わり、10月には消費税の増税が予定される節目の年となりますので、大きな変化の波に飲み込まれないように、気を引き締めていかねばなりません。

 さて、平成31年度を迎えるにあたり、地域に密着・連携した信頼される質の高い医療の提供を行うにあたって、まず当院が取り組むべきこととして挙げられるのが、「京都府北部地域における周産期医療提供体制の充実」に関することになります。
当院では従前より、小児・周産期医療に積極的に取り組んでおり、平成9年には、京都府より「周産期医療サブセンター」に指定され、府内における総合的な周産期医療ネットワークの一翼を担ってまいりました。

  しかしながら、府内の周産期母子医療センターが南部地域に集中していることもあり、北部と南部の連携体制強化は以前から課題として認識されていました。また、NICU(新生児集中治療室)についても、病床利用率が常に満床状態にある医療機関も存在しており、病院間の連携及び機能分担による病床運営の最適化を図る必要性に関しては、京都府の策定する保健医療計画の中でも言及されているところです。

  一方で、産科医療従事者の確保は、他の診療科と比較しても、その医療訴訟率の高さ、休日・深夜労働の多さから困難な状況が続いており、当院でも、現在は何とか1名の医師を確保しておりますが、一時期は産婦人科医が不在の状況に陥ったこともあり、継続的・安定的な体制確保には大きな課題が存在していると言わざるを得ません。

  現状の産婦人科医1名体制ではハイリスクな母体搬送の受け入れを行うことが難しい部分もあり、そうしたケースでは産婦人科医の豊富な舞鶴共済病院でいったん母体を受け入れていただき、そこでリスクの高い新生児が生まれた場合に、新生児のみをドクターカーで当院NICUに搬送して治療を行う、という運用を取っておりますが、一時的とはいえ、母児が離れ離れになってしまうことは、出産を終えられたばかりのお母様にとっても大きな不安を感じることになるでしょうし、児にとっても、当院で母体を受け入れ、分娩からスムーズにNICUに移行する方が、医療の面からみても安全・安心であることに間違いはありません。

  こうした背景の中、昨年6月、京都府は「安心して出産・子育てできる環境づくり」の一環として、京都第一赤十字病院、京都府立医科大学附属病院、京都大学医学部附属病院との間に「周産期医療体制の強化に関する協定」を締結し、それを受けて、平成31年4月からは、京都府立医大から当院に、産婦人科医師が2名体制となるように医師派遣が行われることが決定いたしました。

  産婦人科医を増員し、当院の周産期医療体制を強化することで、里帰り出産等、より多くの分娩を受け入れることができ、また、これまで新生児搬送だったものが、ハイリスクな母体搬送から受けることも可能になるため、母児共により充実した医療を提供できることになるものと考えております。晩婚化の進む現代日本社会において、いわゆる高齢出産の割合が以前よりも増しており、それに伴いハイリスクな分娩の割合も増加傾向にあるため、この京都府北部地域において、周産期医療サブセンターとして当院が果たすべき役割は、一層重要性が高まってきていることを強く認識しております。院内の小児科医師とも連携しながら、NICUの活性化も含めて体制構築を進め、地域の皆様に安心して出産・育児を行っていただける環境づくりに貢献してまいる所存です。

 

 平成31年度、新しい時代を迎える本年も、職員一丸となって努めてまいりますので、今後とも、一層のご指導、ご鞭撻をいただきますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。

2019/01/01

院長からのご挨拶

独立行政法人国立病院機構     
舞鶴医療センター 院長 法里 高

 明けましておめでとうございます。
 皆様におかれましては、輝かしい新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
また、平素より、当院の病院運営、日常診療におきまして、ひとかたならぬ御高配にあずかり、深く感謝申し上げます。

 今年の冬はエルニーニョ現象が続いており、全国的に見ても、例年より少し気温が高くなりそうだ、という予報が出ております。毎年この時期は、雪が多く降り積もった際の対応に頭を悩ませておりますが、今年はもしかしたらその回数が少しは減るかもしれない、と希望的観測を抱いております。

 

 さて、先日、2018年の世相を表す「今年の漢字」が発表されておりましたが、平成の最後を飾ったのは、「災」の1文字でした。振り返ってみますと、4月に島根県西部地震、6月には大阪府北部地震と西日本豪雨、9月には北海道胆振東部地震と、それに伴う道内全域停電(ブラックアウト)、また台風も非常に強い勢力の21号、24号といったものも含めて、例年より多い29個が発生しました。様々な災害に見舞われ、被害を受けられた皆さまにおかれましては、心よりお見舞い申し上げます。
 当院に関しましては、幸いなことに建物やスタッフに対する甚大な被害はありませんでしたが、改めて、災害に対し日ごろからの準備を入念に行うことがとても大切である、ということを強く認識させられる1年となりました。

 

 災害医療に関しては、私が院長に就任して以降、常に課題として意識する事柄でありました。中丹地域における災害拠点病院の機能は、市立福知山市民病院が担っておられますが、当院としても、この舞鶴地域において中核的な役割を担う総合病院として、災害発生時には傷病者の受け入れや医療班の派遣といった事項をはじめ、地域住民の皆さまへの医療提供という点で、様々な形で貢献することが重要な責務であると、常々感じております。
 また、この地域において災害対策を考えるうえで切っても切り離せないのが、原子力災害対策です。
 当院は高浜原子力発電所から直線距離で約11キロメートルの場所に位置しており、国際原子力機関(IAEA)の国際基準によるところのUPZ圏内(原子力発電所から概ね5キロメートルから30キロメートル圏内)ということになり、もし仮に原子力発電所で事故発生等の緊急事態となった場合には、予防的な防護措置を含め、段階的に屋内退避、避難、一時移転を行う必要があります。それと同時に、当院は京都府から原子力災害医療協力機関にも登録されておりますので、原子力災害発生時には、被ばく患者等に対する初期診療(救急処置や簡易な除染等)や安定ヨウ素剤の配布支援等の役割を担うことになります。一般的には、原子力発電所の事故は、地震や津波といった自然災害を起点として二次的に複合発生することが考えられますので、通常の災害対策に加え、原子力災害対策についても並行して力を入れていかなければなりません。

 

 上記のような状況を踏まえ、当院としても様々な取り組みを推し進めております。

 

 まず、設備面においては、京都府の原子力災害対策施設等緊急整備事業費補助金を用いて、精神科病棟の陽圧化工事を施工いたしました。こちらは平成30年3月に工事が完了したところです。これにより、仮に原子力発電所の事故等で放射性物質が飛散したとしても、陽圧装置を稼働させることによって、精神科病棟内においては一定の期間、放射性物質の建物内への侵入を防ぐことができます。
 また、スタッフの教育面においては、国立病院機構近畿グループの支援を受け、機構内のDMAT(災害派遣医療チーム)隊員である、経験豊富な医師、看護師等を講師としてお迎えし、院内職員向けに研修を繰り返し行っているところです。最終的な目標としては、大規模災害訓練を定期的に実施し、院内職員全てが当事者意識を持って、災害対策に携わることができるレベルにまで底上げを図っていきたい、と考えております。

 

 災害大国と言われる日本では、いつ、どのような災害に遭遇したとしても不思議ではなく、それ故に完璧な対策を施すことは困難を極めますが、だからこそ、日々の地道な積み重ねや、準備を怠ることなく継続的に取り組む不断の姿勢が求められるものと思います。これらは一朝一夕で達成できるものではありませんが、常に高い問題意識を持ち続け、院長自ら、職員の先頭に立ち、今後も重点課題の一つとして取り組んでいく所存です。

本年も一年、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2018/04/02

平成30年度を迎えて

独立行政法人国立病院機構舞鶴医療センター
院長 法里 高

 日頃より当院の運営に関し、皆様からご支援、ご協力を賜りまして、厚く御礼申し上げます。

 今年の冬は、関東地方でも大雪になり、福井県を中心とした北陸地方では記録的な豪雪になる等、非常に厳しい寒さとなりましたが、ようやく季節も変わり、春の爽やかな風とともに、新しい年度がやってきました。今年も当院では、新たに着任する多くの採用職員・異動職員を迎えることになりますが、彼らを歓迎するかのように、病院前の桜並木も例年どおり美しく、満開の花を咲かせています。この季節は、環境が変わり、新生活に期待と不安を抱いておられる方も多いことと思いますが、我々も、新しい出会いを大切にしながら、気持ちを新たに、今年度も気を引き締めて様々な事柄に取り組んでまいりたいと思います。

さて、当院では、平成30年度を迎えるにあたり、4つの大きな目標を掲げました。それは、①地域に密着・連携した信頼される質の高い医療の提供、②地域包括ケアシステムの構築に向けた取組、③経営基盤の安定に向けた取組、④研究・研修・教育事業の推進 です。
「地域に密着・連携した信頼される質の高い医療の提供」では、この舞鶴地域、ひいては京都府北部地域において、従前より当院が力を入れて取り組んできた、脳血管医療、小児・周産期医療、精神医療、認知症医療に加え、この4月より、がん・緩和医療にもより力を入れて取り組んでまいります。特に緩和ケアに関しましては、4月より、京都府北部地域では初となる、「緩和ケア病棟」を開棟することとなります。これまで、当院でがんの積極的治療が終わった患者さんやご家族から、「これからは生まれ育った街でゆっくり過ごしたい」という声を多くいただいていました。しかし、京都府北部地域では緩和ケア病棟がなく、入院したいと思われる方には、京都市内か他府県への転院をご紹介する、という現状があり、いつかこの地に緩和ケア病棟を作りたい、という思いを我々医療者も感じていました。そうした中、平成28年の病棟新築以降、ハード面、ソフト面の準備を徐々に進め、平成29年春より病棟の一部を緩和ケア病床として運用開始し、この4月、病棟のワンフロアを全て緩和ケア専用とした「緩和ケア病棟」の運営をスタートさせます。当院では、緩和ケアの定義に沿って「患者さんとご家族が、海と山に囲まれた京都北部でその人らしく、穏やかな時間を共に過ごせるように支援します。」という理念を基に運営しています。緩和ケア病床に入院された方が、身体の痛みが和らぎ、ご家族と笑顔で過ごされている姿を見たり、気軽にご自宅に外出されたり、病室から見えるご自宅を発見して喜ばれている姿を見て、やはりこの地に緩和ケア病棟は必要なのだと強く感じました。この地で皆さんを迎え、病状の進行による身体や心の辛さを和らげ、京都府北部全域の患者さん、ご家族がその人らしく、よりよい穏やかな時間を過ごしていただけるよう、当院スタッフ一丸となって支援していきたいと思っています。

「地域包括ケアシステムの構築に向けた取組」については、医療と介護の連携、入退院支援の推進に積極的に取り組んでまいりたいと思います。当院では、地域包括ケア病棟を50床有しておりますが、運用開始から3年が経過し、医療需要や診療報酬改定といった周辺環境の変化に合わせて、活用方法の検討を随時行っております。地域包括ケアシステムは、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げられるものですので、当院といたしましても、システムの一翼を担うべく、地域の皆様が可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを続けることができるよう取り組んでまいる所存です。

「経営基盤の安定に向けた取組」については、平成30年度診療報酬改定に即した対応が必要となります。また、今年度は、電子カルテの更新、院内LANネットワーク更新といった大規模システム改修を行う予定としておりますので、それに向けた対応が求められます。安定的な経営基盤を持つことは、適切な時期での設備更新、最新医療機器の購入といった投資を行うために、必要不可欠なものです。健全かつ継続的に病院機能を維持し、この地域において良質で高度な医療を提供し続けていくためにも、経営改善方策の検討、実施を続けていきます。

「研究・研修・教育事業の推進」については、従前より行っている臨床研究、研修医教育といった啓蒙、啓発活動の推進に努めます。また、良質な医療者の育成のために、院内、院外問わず参加いただけるような内容の研修を今年度も定期的に主催し、地域に貢献してまいりたいと思います。

最後に、上記目標には掲げられておりませんが、災害医療に関する取組も今後重要になってくると感じております。地震や、それに伴う複合災害が発生した場合に、当院がどのような役割を担うことができるか、行政機関等とも連携しながら、具体的な枠組みを検討してまいりたいと思います。また、この地域では、原子力災害に対する備えも必要となります。当院では、精神科病棟の原子力災害防護対策として、建物の陽圧化工事を進めており、ようやくこの3月に完了となります。災害対策に関しては、原子力災害が発生した場合を想定したマニュアル作成、訓練も必要であると考えており、出来るところから少しずつ取り組んでいきたいと思います。

医療を取り巻く環境は目まぐるしく変化し、年々厳しさを増しております。社会状況、地域情勢、医療需要の変化に柔軟に対応しながら、上記に掲げた病院目標を着実に成し遂げることのできるよう、職員一丸となって努めてまいりますので、今後とも、一層のご指導、ご鞭撻をいただきますよう、今年度も何卒宜しくお願い申し上げます。

 

2018/01/01

院長からのご挨拶

独立行政法人国立病院機構舞鶴医療センター
院長 法里 高

明けましておめでとうございます。
皆様におかれましては、輝かしい新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
また、平素より、当院の病院運営、日常診療におきまして、ひとかたならぬ御高配にあずかり、深く感謝申し上げます。

 舞鶴医療センターも新病棟に移転してから1年以上が経過いたしました。新しい設備や機器等が導入され、診療現場の環境は大きく変わりましたが、スタッフも徐々に順応しており、少しずつではありますが、運営は順調に軌道に乗ってきているのではないかと思います。

 そのような中、舞鶴医療センターでは、今年、新しい病院機能を追加しようと考えております。それは、「緩和ケア病棟」の開設です。平成29年4月より、病棟の一部を「緩和ケア病床」として運用してまいりましたが、この度、フロアすべての病室を緩和ケア専用とし、平成30年4月を目処に「緩和ケア病棟」として新たに運営を開始したいと考えています。

 「緩和ケア」とは、生命を脅かす疾患による様々な問題に直面している患者さん、そのご家族に対し、抱えておられる痛みやその他の色々な問題を早期に発見、対処することによって、苦しみを予防し、和らげることで、生活の質を改善するアプローチのことです。もう少し端的に言えば、「病気(主にがん)に伴う心と体の痛みを和らげること」を指します。がんは、日本人の死因の中でも最も多い病気で、現在も3人に1人はがんでお亡くなりになられています。がん患者さんは、がん自体の症状の他、痛みや倦怠感といった身体的苦痛や、不安や苛立ちといった精神的苦痛、さらには、経済的な問題や家族の問題といった社会的苦痛や、生きる意味への問い・死に対する恐怖といったスピリチュアルな苦痛、というように、様々な辛さ、痛みを抱えることになります。そうした状況では、病気になる前の自分らしい生活を普段どおり送ることは、なかなか困難です。多様な苦痛を少しでも取り除き、軽減することで、患者さんとその家族の生活をより充実したものに改善する取り組みこそが「緩和ケア」ということになります。

 「緩和ケア」という言葉のイメージとして、がんの終末期でこれ以上回復が見込めない患者さんに対し、穏やかな最期を迎えるために行われる処置、という印象を持たれている方も多いかもしれませんが、近年の考え方は実は逆で、現在は、がんと診断された時から、がん治療と同時に緩和ケアを提供することが医療者には求められています。これは、以前であれば、がんと診断され手術で切除できなければ、予後も非常に厳しいという状況がありましたが、最近では、早期発見や手術、抗がん剤による治療や放射線療法等の進歩もあり、がんと診断されてからの生存期間が大幅に延びてきていることが背景にあるものと思います。即ち、がんの治療を続けながら、がんと共に生きることが可能な時代になった現代であるからこそ、その人らしい生活を送り続けるためにも、がん治療に伴う苦痛を和らげる「緩和ケア」が重要になってくるのです。

 また、多死社会は目前に迫ってきています。日本国内の死亡者数は年々増加しており、2039年前後には年間約167万人の方がお亡くなりになられる、という予測も出ています。こうした状況に対応するように、国は看取りの受け皿として、在宅や介護施設での看取りを増やす方針を明確にしておりますし、「終活」という言葉が世間に浸透してきたことに象徴されるように、日本人の死生観も時代に合わせて変容してきているとは感じますが、実態としては、やはり医療機関でお亡くなりになられる患者さんが死亡者数全体の約75%を占めており、在宅、介護施設での看取り件数を大幅に増加させることは簡単ではないように思います。

 そして、この京都府北部地域は、全国平均よりも高齢化率がやや高い、という統計もあります。そう考えれば、多死社会の到来は、当地域では全国的なものよりも少し早く直面してしまう社会的課題であるのかもしれません。そうした中で、がんやその他の疾患で苦しみ、悩んでおられる患者さんに対し舞鶴医療センターに出来ることは何か、看取り場所の選択肢として、地域の皆様に貢献できることはないのか、と考えた結果、たどり着いた一つの答えが、緩和ケア病棟の開棟でした。

 緩和ケア病棟入院料の施設基準の届出を行っている施設の数は、平成29年11月現在で、全国394施設、京都府内では10施設となっていますが、京都府北部ではまだ緩和ケア病棟を有する施設はなく、開棟できれば舞鶴医療センターが北部地域では初めて、ということになります。緩和ケアは、「いつでも、どこでも、切れ目なく」受けることができることがとても大切になります。そういった意味では、舞鶴医療センターが緩和ケア病棟という病院機能を持つことで、京都府北部地域の皆様に少しでもお役にたてる働きができるのではないかと考えております。

 また、舞鶴医療センターの緩和ケアにつきましては、病棟だけではなく、外来も行っております。他にも、専門の医師や看護師、薬剤師等の複数の医療職で構成される緩和ケアチームによる活動も積極的に実施されていますし、医師や看護師、その他医療職を対象として、緩和ケアの知識や技能を習得するための研修を主催することで、緩和ケアの啓発・普及にも取り組んでいます。

 舞鶴医療センターとしても、緩和ケア病棟を開棟する、ということは新たな試みとなりますので、試行錯誤しながら準備を少しずつ進めているところではありますが、がんをはじめとする様々な病気で苦しみ、悩み、辛いと感じている患者さん、そのご家族に対し、寄り添い、痛みを和らげ、最期までその人らしく在り続けられるよう全力を尽くす、という思いに変わりはありません。職員一同、一意専心、取り組んでいく所存です。

 本年も一年、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2017/08/30

院長からのご挨拶

独立行政法人国立病院機構舞鶴医療センター
院長 法里 高

 日頃より当院の運営に関し、皆様からご支援、ご協力を賜りまして、厚く御礼申し上げます。

 今年も本格的な夏が到来し、連日のように、うだるような暑さが続いています。最近では、ニュース等でも、熱中症にかかる方が増加している、ということをよく見聞きするようになりました。熱中症の予防には、こまめな水分補給とほどよい塩分補給、そして、食事や睡眠を十分に取ることにより、暑さに負けない体づくりをすることが大事です。また、エアコンを利用して室内を涼しくしたり、通気性の良い衣服を身に着けたりと、日々の生活の中での暑さに対する工夫も重要です。今年は、全国的に猛暑が続くと言われておりますので、皆様におかれましては、体調管理には十分お気を付けいただき、健やかにお過ごしいただきたいと思います。

さて、世間は8月、お子様方が楽しみにされる夏休みシーズンとなり、ご家族でレジャースポットにご旅行に行かれて、楽しい思い出を作る貴重な時間を過ごされている方も多いのではないでしょうか。そんな中、当院といたしましても、地域の皆様に少しでも喜んでいただき、貢献できることはないかと考えまして、8月6日(日)に、舞鶴市とタッグを組んで、中高生のみなさまを対象とした、医療体験イベントを開催いたしました。このイベントは、舞鶴の地域医療を担う進路を若者が選ぶきっかけ作りとして、舞鶴市が今年初めて企画したもので、当日は、応募定員を大きく超え、96名のご参加をいただき、盛況のうちに終了することができました。イベントの内容としましては、医師、看護師、薬剤師、放射線技師、検査技師、栄養士、臨床工学技士など、病院で働く13の職種で、それぞれの仕事を体験していただく「ミッション」を用意し、参加者の皆様には当院の機材を実際に使って「ミッション」をこなしていただきました。ミッションの内容は、「医師」のブースでは超音波エコーの体験、「薬剤師」のブースでは、チョコレート等を使用した調剤体験、「看護」のブースでは、脈拍、血圧測定や採血体験などです。当日は舞鶴市長も会場に来られており、これからの日本の未来を担う若い世代の皆様に向けて、「将来、舞鶴地域で活躍する医療従事者に育ってほしい」、と期待を込めて熱いエールを送られていました。

実は院長である私も、舞鶴出身でありまして、昭和51年に地元の東舞鶴高校を卒業後、大学の医学部で勉学に励み、医師免許取得後は、京都市内のいくつかの病院で診療に従事しましたが、平成10年から縁あって舞鶴に戻ってまいりまして、現在に至っております。近年、医師をはじめとして、舞鶴地域の医療従事者の数が減少してきており、当院でも、医療スタッフの確保には非常に苦慮しております。「地産地消」という言葉がありますが、医療を担う人材についても、地元出身の方が成長して舞鶴地域にもどって来られ、生まれ育った場所に住む人たちの健康に貢献していただけるような地域社会づくりが出来れば、と思いますし、今回のイベントが、若い世代の皆様の進路選択に少しでもお役に立つ結果になっていれば、これに勝る喜びはありません。

今後も地域の皆様の医療ニーズに応えていくため、舞鶴市や地域の医療機関の皆様と連携しながら、当院も努力していきたいと考えております。これからも、何卒、宜しくお願い申し上げます。

 

2017/04/01

平成29年度を迎えて

独立行政法人国立病院機構舞鶴医療センター
院長 法里 高

 日頃より当院の運営に関し、皆様からご支援、ご協力を賜りまして、厚く御礼申し上げます。

 例年に比べ、多くの積雪に見舞われた厳しい冬がようやく終わりを告げ、少しずつ、春の足音が聞こえてくる季節となってまいりました。
昨年度、当院においては、中丹地域医療再生計画に基づく新病棟(B病棟)への移転が無事完了し、新しい設備での診療を開始することが出来ました。これもひとえに、地域の皆様のご理解、ご協力の賜物であり、改めまして感謝申し上げます。
最新鋭の放射線機器や、NICU、SCUといった病室も整備いたしましたので、地域における医療の提供に貢献できるものと考えております。

 さて、当院では、平成29年度を迎えるにあたり、3つの大きな目標を掲げました。それは、①地域に密着・連携した信頼される質の高い医療の提供、②経営基盤の安定に向けた取組、③研究・研修・教育事業の推進 です。
なかでも、当院が、この地域の中で果たすべき役割として期待されている様々な機能を再認識したうえで、地域の皆様の健康に寄与していくことが最も重要であると考えております。具体的には、小児・周産期医療、脳卒中医療、認知症医療、精神科医療に関して、診療体制の充実に取り組んでいくとともに、地域包括ケア病棟の運営に関し、更なる活性化を図り、医療と介護の連携充実に寄与していきたいと考えております。
また、昨年竣工した新病棟には、緩和医療を提供するための設備についても整備しております。平成29年度からは、昨年度まで緩和ケアチームで活動していた非常勤医師を常勤として採用するとともに、府立医大から、緩和ケアを担当する非常勤医師を1名招聘し、体制の充実に取り組んでいるところです。がん患者さんや、そのご家族の病気に伴う心と体の痛みを和らげ、生活の質をよりよいものとしていくため、当院としても緩和ケアを提供する体制づくりに引き続き取り組んでまいります。

 質の高い医療、という点では、当院は、昨年12月に、医療機能評価機構による病院機能評価を受審し、この3月に認定を受けることが出来ました。外部からの評価を受けることにより、様々な視点から、新たな気付き、発見することも多く、これを契機として、今後も引き続き改善すべきところは改善し、医療の質の向上について、継続して取り組んでまいりたいと考えております。

 上記に掲げた病院目標を着実に成し遂げることのできるよう、職員一丸となって努めてまいりますので、今後とも、一層のご指導、ご鞭撻をいただきますよう、何卒、宜しくお願い申し上げます。

 

2017/02/22

ご挨拶

独立行政法人国立病院機構舞鶴医療センター
院長 法里 高

 平素より、当院の病院運営、日常診療におきまして、ひとかたならぬ御高配にあずかり、深く感謝申し上げます。

 さて、免震装置偽装問題により、当初計画から丸1年遅れておりました新病棟への移転ですが、平成28年7月に無事完了することが出来ました。こうして、無事開設のご報告ができますのも、中丹地域医療再生計画を策定、推進していただきました京都府、京都府立医科大学、舞鶴市、そして舞鶴医師会をはじめ関係者の皆様方にご支援・ご協力をいただいた賜物と、心から感謝申し上げます。

 今回の中丹地域医療再生計画に基づく病棟建て替え整備で、「脳卒中センター」「周産期センター」「認知症疾患センター」として、京都府北部における病病連携・病診連携を通じて地域医療支援病院としての役割を果たすべく、地域に視点をおいた医療の充実・強化を展開していく所存です。

 改めて新棟のご紹介をさせていただきますと、1階が放射線画像診断棟、2階が手術棟、3階から7階までが病棟となっており、3階から5階までは各50床の看護単位の一般病棟、6階は緩和ケア病床15床、一般病床24床の計39床、7階は地域包括ケア病棟50床で、病床数239床となります。また、SCU(6床)、NICU(6床)に加えてGCU(6床)を設置し、さらに、成人用、小児用の陰圧・陽圧室を併せて整備しております。

 1階の放射線画像診断棟に設置する大型医療機器(リニアック、MRI(3T)、血管連続撮影装置、ガンマカメラ(スペクトCT)、Ⅹ線TV、マンモグラフィ、一般撮影装置、320列CT)は全て更新させていただきました。今年も引き続き、地域での共同利用にご活用いただければと思っております。

最新の大型医療機器の導入で画像診断の精度を向上させ、最新の手術室環境にて手術件数の増を図り、NICUにて新たに新生児低体温療法に取り組み、SCUにおける広域の脳卒中患者の収容を行ってまいります。

 また、当院は、一番近い原子力発電所から10数キロの位置にあることから、原子力災害と自然災害等との複合災害を見据えた医療体制が望まれています。新病棟は免震構造で、地震災害にも影響が受けにくい建物であることから、将来的には「災害拠点病院」に準じた使命を果たせるよう検討しているところです。

 少し話は変わりますが、昨今の日本の医療環境に目を向けてみますと、高齢化や医療技術の進歩に伴い、非常に目まぐるしく変化しております。舞鶴市の医療圏においても、今後、人口の減少、高齢化が進むものと推測されており、今後の医療需要、医師不足の面からも診療機能の効率化を図る時期が来ているものと推測されます。また、今後の医療制度改革を見ますと、2014年6月に医療介護総合確保推進法が成立し、「地域包括ケア推進」や「地域医療構想の策定」が進められており、2015年5月には国民健康保険法の一部改正が行われ、2018年度から都道府県が国民健康保険の財政運営の負担をすることになっています。最近の医療制度改革は、「団塊の世代」がすべて75歳以上になる2025年を見据えており、2018年には次期医療計画、医療費適正化計画の策定、国民健康保険改正の施行、診療報酬と介護報酬の同時改定と、この数年は医療機関にとってはまさに正念場となります。

 今最も気になることは「地域医療構想」の策定であり、中丹医療圏における病床機能報告に基づき、2025年度の地域医療ビジョンを京都府と一緒に策定していくことになります。当院では、地域包括ケア病棟、緩和ケア機能の開設により急性期だけではなく回復期機能、終末期医療も併せ持つ体制としておりますので、舞鶴医師会の先生方と連携を図れる体制づくりに尽力してまいります。

 また、当院では、提供する医療の質の向上、組織全体の運営管理の改善を目的として、平成28年12月、公益財団法人医療機能評価機構による病院機能評価の受審をいたしました。これを契機として、職員一人一人が、継続的に、質の向上に対して意識を高く持ち、地域の皆様に安全・安心、信頼と納得をしていただける医療サービスを提供できるよう、日々努力を続けていきたいと考えております。

 これからも、激動する医療情勢の中で、職員一丸となり患者さん及び地域のニーズにしっかり応えられるよう努力して参ります。

 「地域でもっとも信頼される病院」と皆様に評価していただけるよう、職員一同が心新たに一層の努力を重ね、業務に励んでまいる所存でございます。ご指導、ご鞭撻の程、何卒、よろしくお願い申し上げます。